週刊ベイスポ11月3日発行号掲載

今週の人:
西浦 泰明 (にしうら・やすあき) さん

 北カリフォルニアの日本企業を中心にコンサルティングをしている西浦さん。学生の頃より国際的なビジネスに携わりたいと明確な目的を持って、その目標を確実に実現している。好きなようにさせてもらっていてラッキーという西浦さんの努力と人望の厚さが垣間見える。そんな西浦さんのベイエリア生活を聞いた。
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●仕事について

 現在はデロイト・トウシュ会計事務所で北カリフォルニアの日本企業サービスグループの代表をしています。個人的にはM&A、人事、知財(知的財産)の3つの分野の戦略コンサルティングに注力しています。今を遡ること31年前、日本の公認会計士第2次試験に合格して監査法人トーマツに入所しました。東京での勤務でしたが、入所から2年目に提携先のデロイトのセントルイス事務所に派遣され、そのときにアメリカのCPA資格も取りました。それから東京に戻ってきて3年ほどで、たまたまカクテルレセプションでデロイトのサンフランシスコ事務所のトップとお話しをする機会があり、そのときに大変気に入られ、サンフランシスコに来て日本企業サービスグループ(JSG)を立ち上げてくれないかということになりました。それで、1982年にサンフランシスコに赴任して来たわけです。人生、ひとつの出会いが運命を変えることがあるものですね。
 赴任した当初は会計監査や税務業務に注力していましたが、1986年頃からM&Aの案件が増えまして、コンサルティング的な仕事に流れていきました。現在は、M&A、人事、知財の3つの戦略を柱としていますが、結局、根っこの部分では全部がつながっているものなんですよね。日本人、私一人で始めたJSGも今では日本人スタッフが30人ほどになりました。日本企業もこの10年、中国ばかりに目を向けていましたが、アメリカも人口3億人を超え、ますます成長する経済ですし、しっかりとしたビジネスのインフラが整っています。今後M&Aを通じてビジネスをさらに拡大する日本企業の戦略投資に期待しています。

●英語で仕事をするということ

 セントルイスに赴任したときは苦労しましたね。それまで日本で受けてきた英語教育は何だったのかと。でも上司がサポートしてくれたので、助かりました。

●留学経験

 もともとアメリカに来たかったんですよ。それで、中学のときは英語が好きでしたし、高校の頃はESSに所属していまして、交換留学制度にも参加しようと思いました。でも、ペーパー試験はパスしたものの会話のほうがダメで行けなかったんですよ(苦笑)。それで大学に入ってから英語を一生懸命、勉強して英検1級を取りました。ちょうど、そんなときに大学の教授からの勧めもあって名古屋テレビ放送が主催している海外派遣学生の制度で生まれて初めてアメリカに行きました。2ヶ月だけの滞在だったのですが、サンフランシスコをはじめソルトレイクシティーのユタ大学で2週間ほど講義を受けたり、その後はデトロイト、シカゴ、ボストンやニューヨークなど多くの大都市を回りました。とても面白かったですね。これでアメリカの虜になりましたよ。日本に帰るときに「絶対、戻ってくるぞ」と思いましたね(笑)。
 それからアメリカのCPA試験は日本の試験ほど難しくはないのですが、とにかく実務で絞られますね。資格をもっていても実力の中身はピンきりです。そこが日本と大きく異なるところです。あとサンフランシスコに来てから、仕事をしながらゴールデンゲート大学の夜間のクラスでMBA(税務)を取得しました。

●英語で失敗したエピソード

 セントルイスにいたときですけど、スーツを買おうと「Big Man」というお店に入ろうとしたら、「お前の来るところじゃないよ」という感じで拒否されたので、てっきり差別されているのかと思ったのですが、「Big Man」というのが店名ではなくて大きいサイズ専門ということだったんですよ(苦笑)。

●もし100%ネイティブだったら、どんな仕事に

 そうですねえ、難しい質問ですね。別の仕事をしていたかもしれないですね。例えば、ニューヨークのウォルストリートあたりで株式投資関係の仕事とかですかね。

●仕事とは

 自己実現するものだと思っています。つまり、仕事に生きがいを感じることができ、かつ面白くなければ意味がないんです。学生の頃からキャリア志向が強く、国際的なビジネスに興味があり、独立心が強かったのでCPAの資格を取ろうと思いました。今まで自分の希望どおりの道を歩んでこれたのは非常にラッキーだと思います。それも必ず大事なときに大事な人との出会いがあって実現できたことなので、お世話になった周囲の方たちにも大変感謝しています。

●今の仕事に就いていなかったら

 本当にタレント(才能)があったら芸術家になりたいですね(笑)。でも、今は好きなようにさせてもらっているし、それがビジネスになっているわけですからラッキーですよ。やはり人生は自由度が高いほうが良いわけで、好きなことをしてお金になるのが理想ですから、芸術家というのは私にとって究極の職業ですね。

●ベイエリアの印象

 20歳のときに初めて派遣学生として来たときには明るい街だなあとは思いましたが、産業の力を全く感じないところでしたね。でも、1982年に赴任してきたときにはシリコンバレーで半導体やソフトウェアなどが注目され始めた頃ですし、アメリカの経済の牽引車としての力を強く感じました。
 実は、パートナーに就任してすぐにニューヨークへ来ないかという話があったのですが、私はベイエリアの適度に田舎で適度に都会なところが好きだったし、ここの気候とライフスタイルが自分の人生にベストだと思ったので断ったんですよ。日本の会社だったらとんでもないことですよね(笑)。

●住んでいる家

 3ベッド2バスの一軒家です。家庭菜園をしている庭が気に入っています。きゅうり、しそ、ねぎ、トマトなんか栽培していますよ。それからサンフランシスコ湾と空港を見おろすデッキがあって景色がいいですよ。

●乗っている車

 BMW525iです。

●休日の過ごし方

 ゴルフかガーデニング(家庭菜園)ですね。ゴルフは年に80ラウンドくらいしています。2つのコースのメンバーなので、そのどちらかでゴルフをするか、コミュニティーのゴルフトーナメントに出たりしていますね。

●起床時間・就寝時間・睡眠時間

 朝は7時頃起きて、夜は12時頃に寝ますね。睡眠時間は7時間くらいです。

●好きな場所

 ゴルフコースですね(笑)。特にオリンピッククラブは好きですね。

●お気に入りのレストラン

 サンフランシスコのホテル・パロマーの5階にある「Fifth Floor」です。

●よく利用する日本食レストラン

 カジュアルで利用するところは、サンマテオの「らくに」とサンフランシスコの「味格」です。私の外のキッチンですね(笑)。

●1億円当たったとして、その使い道

 タックスで半分はもっていかれるでしょうから、まず株で運用して2、3億円になったらインパクトがある金額になるでしょうね。あぶく銭だったら思い切った運用をしますね。そうしたら、それをNPO活動の資金にしたいです。リタイヤ後には日本の教育関連のNPO活動に関わりたいと思っています。実は、学生時代に塾を経営していたことがあるんですよ。多いときで73名の中高生を教えていて経営はうまくいっていたし、教えるって楽しいんですよ(笑)。

●日本に戻る頻度

 年に5、6回です。3回は講演のために東京に行きます。監査法人トーマツで米国実践ビジネスセミナーというのをやっていまして、アメリカ子会社を管理する方やアメリカでビジネスを始めようとする方を対象に3日間のセミナーを開いています。他はトーマツのパートナーズミーティングや具体的なプロジェクト関連で日本に行きます。

●日本に持っていくお土産

 カリフォルニアワインですね。でもお酒を飲まない人には何を持っていったらいいのか困りますね(笑)。

●ベイエリアに持ってくるもの

 鎌田商事のだし醤油とイチビキ味噌ですかね。

●ベイエリア生活で不便、不安に思うこと

 やっぱり日本にあってこちらにないものですよね。本物の日本食と温泉ですね。温泉で部屋食とかいいですね。

●日本に郷愁を感じるとき

 飛行機で寅さんの映画を観たとき、涙が出ましたねえ(笑)。

●お気に入りの観光地

 カナダのバンフとカリビアンクルーズは良かったですね。カンクンに行ったときも海の色がこちらとは全然違ってきれいでしたね。

●永住したい都市

 リタイヤしたら、サンフランシスコをベースにして、日本を行ったり来たりしたいですね。

■プロフィール■
西浦 泰明
にしうら・やすあき
 大阪府出身、名古屋育ち。名古屋大学経済学部経営学科卒業。公認会計士2次試験に合格し、1975年、監査法人トーマツに入所。セントルイスでの海外赴任を経て、1982年デロイト・トウシュ会計事務所・サンフランシスコ事務所に赴任。1987年にデロイトの日本企業サービス代表パートナーに就任、現在に至る。米国公認会計士、ゴールデンゲート大学にてMBA取得。著書「リテンションストラテジー」。

学生時代に経営していた塾生たちと一緒に。

オリンピッククラブの18番ホールにて。

80年代ですが、ナパのシルバラード・カントリークラブで行なわれたシニアトーナメントの前夜祭で青木功プロと撮った写真です。

●最も印象に残っている本

 バブル崩壊後には人事戦略が注目されるようになりまして、その頃「リテンションストラテジー」という本を出版しました。日経ビジネスではビジネス書の分野でベストセラーの7位に入りました。

●最近、読んだ本
 「株主資本主義の誤算」です。アメリカの経営について警鐘を鳴らしている内容です。

●印象に残っている映画
 学生のときに観た「サウンド・オブ・ミュージック」です。青春時代に観たから印象に残っているんですかね。

●よく利用するウェブサイト
 グーグル、ウィキペディア、ヤフーですね。

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